皆様こんにちは。
本日は基本に立ち返ってスーツのディテール、ベントについて話をしていきたいと思います。
そもそもベントとは何かというとジャケットのヒップの位置にあるスリット(切れ込み)のことです。
現代では大きく分けて4種類のデザインがあります。
1.センターベント

背中心の縫い目に沿って切れ込みをいれたデザインです。
年代問わず様々なシーンで用いられており最も馴染み深いデザインのひとつだと思います。
スリムな体型の方に特に似合うスタイルだと思います。
そもそも現代のスーツに用いられるベントの誕生は18世紀ごろまで遡ります。
当時の貴族の服装は現代のスーツのようなものではなく丈の長いコートを着用していました。
そんな服装で乗馬を嗜んでいたわけですが、丈の長いコートでは馬にまたがった際に裾がもたついてしまうため
裾に切れ込みを入れたわけです。
そんなわけでセンターベントは「馬乗り」と呼ばれることもあります。
2.サイドベンツ

後ろ脇の縫い目に沿って切れ込みのデザインです。
おそらく最近はこちらのスタイルが多いのではないでしょうか。
威厳のあるエレガントな印象がありダブルのスーツではサイドベンツが標準装備となっています。
サイドベンツは騎士が剣の抜き差しをしやすいように生まれたため「剣吊り」と呼ばれることもある、という話もあるようですが、
古い書籍を読んでいると、ベント=馬乗りであり、サイドベンツは単に後ろ脇に切れ込みが入った馬乗りと紹介されているため真偽は不明です。
ただ、大日本帝国陸軍の軍服には後ろ脇に「脇裂き」と呼ばれる刀を出すための切れ込みがあったのも事実なので
軍服由来のデザインであると考えるのが自然なような気もします。
長くなってしまうので残りの2種類はまた次の機会にお伝えできればと思います。